幼いころの私にとって、花づくりは魔法のような時間でした。
かつてフランスでコサージュ職人として生きていた父は、
母と出会い、家族を想い、「花はどこでも作れる」と日本へ拠点を移しました。
小さなアトリエで、花びらを一枚ずつ染め、重ね、 そっと命を吹き込んでいく父の指先。
コサージュを丁寧に仕上げるその背中を、 私はただ夢中で、見よう見まねで追いかけていました。
あれから時が経ち、私は今、 “ソープフラワーアレンジメント”というかたちで、
父が愛した「花を贈る技」を、静かに受け継いでいます。